ようやくカイの酒場に帰ってくる頃には、私はもう生気も抜けてぐったり状態。
途中から空を仰いで雲を眺めてしまうほど。
「分かってんのか!?」
「分かったー。分かったからもうやめてー。」
何の拷問なんだこれは。
「二人ともお疲れさん。」
「「……。」」
「…お嬢のお客さん。頼むから早くどうにかしてくれ。」
疲れて帰って来て。
お店のドアを開けた先にいる人物を見て、私とおーちゃんは見事に固まった。
そして、それが私の客だと言う。
「遅いわ!このクソ女あ!!!」
また来たのか、イヴさん。
「…私予定あるから、ごめんね。」
「何が予定だあ!?ふざけるのも大概にしろ!?」
「お礼だね。国境守備手伝ってくれてどうもありがとう。」
「貴様の礼などどうでも良い!ハルさんの服はいつ届くんだ!?」
あー。
言ったなー。そんなこと。
「…忘れてた。」
「今すぐ地獄に送ってやる。」
どうしようかな。予定は本当にあるんだよな。
今めちゃくちゃ疲れてるし。長時間のお説教のような話聞かされて頭痛いし。
…逃げよう。
「おーちゃん。」
「何や。」
「ここ任せた。」
「…は?」
すぐに私は再び外へ飛び出して。
パルテノンの皆さんには悪いと思いつつも、火龍の炎で舞い上がる。
普段はこの王都から直接飛んだりしないんだけども。もうね、今だけは許してください。あの場所にはめんどくさいしかなかった。

