おーちゃんを残して来た拠点に戻ると、おーちゃんはスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。
え、可愛いんですけど。
「…っ。」
近くで見たいと思い、側に寄って観察。
これが今すぐ悶えてしまいたいくらい可愛い。何だこの生き物は。
「……。」
黙ってひっそりとその寝顔を眺める。
だってもう永遠に見てられる。
「…癒されるー…。」
「…ほな俺もよろしく。」
急にぱちっと目を開けたおーちゃんと、一瞬目が合った。
目が合ったのに、私の視界だけが回る。
「おっ、起きてたの!?」
「さっきな。あんだけジロジロ見られたら誰でも起きるわ。」
回された視界に映っているのは、天井と不機嫌そうなおーちゃんの顔。
つまり、回し倒されたわけですね。
「…うそつき。」
「寝てるなんて言うてへんわ。」
「…どいて?」
「お嬢は勝手に癒されててんから、俺も勝手に癒されようかな思て。」
だから、私にそんな力はないのよ。
癒しのパワーがあるなら身に付けたいですよ。
「じゃあ鏡を見てるべきだと思う。」
「…俺自分の顔好きちゃうし。それよりもっと好きな顔が目の前にあるんやけど、どうしたらええ?」
「ど…どう…って。いやいや、顔で私はおーちゃんに太刀打ち出来ません。」
「まるで他は太刀打ち出来るみたいに言うやん。」
そりゃあね!
顔は無理!剣でも無理!しかし負けないこともあります!!
「頭の出来は負けません。」
「上等や。」
声にせずともムカつくと書いてある顔が、私に降って来た。
この体勢で生意気なこと言い過ぎたと反省。

