どうやってと、聞かれると。
「飛んで来た?」
「…驚いたら負けだな。」
「とりあえずちょっと回復させてー。私に仮暮らしの部屋をくださいー。」
「あ?ここでいいだろ?」
ここって…。
アキトの部屋ではないのか???
「アキト私と寝るの嫌がるくせに。」
「嫌じゃねえよ!寧ろ…!」
「寧ろ?えー邪な感じー?」
「よ、邪っ!?」
ハルが最近何かと邪と言うので。
もしかしたらそうかなと思ったら、アキトが分かりやすく反応するので図星かと察した。
「じゃあやっぱり別の部屋にしてー。」
「俺に邪な感情はねえ!!!」
「大丈夫大丈夫。私は雑魚寝でも寝れるし、例え廊下でも気にしないからー。」
「待て待て!!!」
勝手に部屋を出て、適当に空き部屋を探そうとする私をアキトが止める。
「この城一応男ばっかだし、誰の女でもないお前は俺の側が一番安全なんだよ。」
「えー私が簡単に負けないの知ってるでしょ。」
「お前なあ。」
「い…っ!?」
アキトはその場に私を組み敷いた。
床に打ちつけた背中が痛い。私の上にいるアキトに、いつかの記憶が蘇る。
『じゃあ、今だけ忘れてろ。』
帰国する前、アキトの姿を最後に見た日のこと。

