ある日、隣の病室の前を通ると、結城友恵のベッドのそばで、小柄なショートカットの女の子が花瓶に花を生けていた。 あれが稲沢環という子だろうか・・・ 白い肌、その短い髪に似合った小さな顔、そして控えめながら百合のような優しい微笑み・・・ でもその笑みは少しつつけば脆(もろ)く崩れてしまうように見えた。 「じゃ、環、頑張ってね!」 結城友恵がそう言い、その女の子・・・稲沢環も小さく頷いた。 セーラー服姿の稲沢環は、病室の入り口で佇む俺の横を通り過ぎて帰っていった。