学校イチモテる天然王子の溺愛が甘すぎて溶けそうです…!

わがままだって分かっている。

今まで好き勝手やってきたくせに、今さらなんだって。

でも、俺にもチャンスがあるんじゃないか?

そんな狡くて汚い感情から、俺は視界に現れたそいつの存在を無視して雫ちゃんに抱きついた。

「え、ちょっと中村くん!?」

離して欲しいと俺の腕の中でもがいている雫ちゃんに、本気で俺のものにしたいという感情に支配される。

「何してるの」

予想よりはるかに低く不機嫌な声でこちらを睨みつける雫ちゃんの彼氏ー羽月千歳の姿があった。

「ち、千歳くん!?」

「雫に触るな」

俺の腕をひねりあげ、強引に雫ちゃんから俺を引き離した。

…力強っ。独占欲凄いな。

「なんだよ、ただのハグじゃん」

「は?普通、女の子にこんなことしないだろ」

「そんな独占欲丸出しじゃ、嫌われるんじゃない?」

「ちょ、2人とも辞めて!千歳くん、私が中村くんに話があるって言ったの。だから…」

「は?2人で話ってどういうこと?」

俺を庇おうなんて、しなくて良かったのに。

雫ちゃんは、自分を悪者してまで俺を庇ったのか。

普通なら、俺のせいにしてしまえば楽で簡単なのに。

こんなに優しくていい子を、どうして諦めることができるんだろう…。

「高校生の恋愛なんて、別れる可能性の方が高いんだからそんなムキにならないでよ〜」

俺の言葉は、俺自身もブーメランで傷つける。

でも、羽月にはその言葉が想像以上にこたえたらしい。

「……」

無言で俺たちに背を向け、教室から出ていこうとする。