目線だけを静かに動かし、周りの様子を伺う。

みんな、それぞれの会話に夢中らしくて、私達の話しなんて聞こえていないみたい。ほっと胸を撫で下ろした。


……小鳥遊くんも、向こうで友達と話してる。良かった〜〜安心安心。



「でも、ちぃが気になる理由も、ちょっとわかるかも。小鳥遊くんクールだし、かっこいいから人気あるもんね」

「そうそう。二年にいるお姉さんも美人で、有名だよね」

「確か、ななせ先輩でしょ？五組の」



沙耶佳ちゃんと、心ちゃんの盛り上がる会話は、私だけを置き去りにして耳に残るだけだ。

二人だけは、いつもと変わらず楽しそうに談笑してるのに、私はどうしてか笑える状態じゃなかった。

だって、ふわふわ舞い上がる感覚が、心を奪っているから。綿菓子みたいに甘くて、指で掬うと溶けちゃいそうな感じだ。

そう思いながらも、二人の会話は耳に入るし、今頭に浮かんだのは小鳥遊くんのお姉さん。

二年五組の小鳥遊ななせ先輩。

アイドルみたいに顔が小さくて、美人でスタイル抜群。大きくて切長の猫目が特徴的だ。
チョコレートブラウンの髪色が、艶っぽくて綺麗で……。