「ちーちゃん、帰ろ〜〜!」

お昼までの短い補習が終わり、帰る準備をしてるところに乙葉ちゃんがやって来た。


「いいよ〜。あっ!職員室行っていい?」

「うん。もうお腹ペコペコだよ……朝ご飯ヨーグルトしか食べてない」

「私も〜〜」

「ねね!今度、フルーツサンドのお店行かない?」

「いいね!行こ行こ」


乙葉ちゃんは、私と違って電車通学だから途中の駅まで一緒なんだ。普段と変わらない会話をしながら、二人で職員室まで向かう。

と、近くまで来たとき、小鳥遊くんの姿を発見。声をかけようとした寸前、被さるように他の声が重なった。


「たか──」

「小鳥遊くん」


反対側から沙耶佳ちゃんの声が届いた。

開いた唇もすんなり閉じて、呆気に取られた。
沙耶佳ちゃんは、小鳥遊くんの隣で真剣な面持ちで話をしている。

近くに行かなくても“大切な話し”って言うのは、雰囲気でわかってしまった。

入る隙もないくらいに、私が行ける空気じゃないってことも。