雑貨屋さんの前で、小鳥遊くんと沙耶佳ちゃんに会ったこと。

その次の日、沙耶佳ちゃんから言われたこと。

ちっぽけな頭の中で整理ができなくて、心ちゃんに相談しようか迷ったけど、余計に心配をかけそうだから、私の中に置き去りにした。

ぼーっと体育館への道のりを、二人で歩きながら今までの過程を考えてたら、乙葉ちゃんはもう一つなにか思い出したらしくて、淡い桜色の空気を纏いながら私に言うんだ。


「最近と言えば……ちーちゃん雰囲気変わったよね?恋してるのっ?」

「へっ!?な、なな…急になに言ってるの?」

「う〜〜ん。気になったから聞いてみたの。どうなの〜〜?」


『恋』と言う聞き慣れない言葉に、やけに大きな反応を示してしまう。

と言っても、恋を覚えたのはつい昨日の話だ。
乙葉ちゃんは勘がいい。危うくバレてしまうところだった。あ、もうバレてるのか。


私って顔に出やすいのかな?
この間、バイト先の先輩にも「千夏ちゃんは素直だし、なんでも顔に出やすいよね」って言われたばっかりだし。

もう、自分でもわかるほど顔赤いよ……。


風を扇ぐように、ぱたぱた振っても熱さは一向に止まらない。

乙葉ちゃんは「ほら!やっぱり」と更に私を煽っている。楽しそうに私の観察を続けては、にこにこ笑い、ブラウンの濃い瞳が興味津々に輝いてる。


この状況は、覚悟しておいた方がいいかも。