ふいに近づく距離に、肩が跳ねた。

視界に入ってきた小鳥遊くんは、私の顔を覗き込むと真面目な面持ちでじっ、と瞳を交差させた。



「ここで俺が世話してるの秘密ね」

「うん。でも、どうして?」

「…だって、ネコ好きとか他の子に知られるの恥ずかしいし」



こんな至近距離で、私はすごくドキドキしてるのに…小鳥遊くんは普通なの悔しいなあ。


「都倉さんにはバレちゃったけど、今日だけは特別ね」

「…わかった」



ふわっと優しく瞳を細めて笑うから、私はなにも続きが言えなくて。

時折、匂う小鳥遊くんのシャンプーの香りに、胸がぎゅっと苦しくなったんだ。