明日、先輩の彼女

「先輩、私のことも溺愛してー!」

「引っ付くな、暑苦しい」


抱きつく私をべりっと剥がした先輩が、ちょうど着いた私のクラス1年A組にぽいっと投げ入れるとスタスタと行ってしまった。


「あ、夕愛おはよー」

「おはよー花音(かのん)!今日も先輩と愛のラブラブ登校してきたよー」

「相変わらず一方的に愛を伝えていただけの間違いでしょうが」


ポニーテールが似合う中学からの親友である米倉(よねくら)花音に呆れたようにペシっとおでこを叩かれる。

去っていった先輩たちの後ろ姿を覗くと、イケメン二人の登校に廊下にいた女子たちがざわざわとしていた。


「私ももう一年早く生まれてたらなぁ…。先輩と同じクラスで授業を受けて、教科書忘れちゃった見せてってやったり、寝ている先輩を隣の席で見れちゃったりするのにぃ!ずるいよ二年生!」

「歳の差はどうにもならない、諦めな」


そうは言っても、先輩と一日の中で一分一秒でも長く一緒にいたい。

できることならずーっとくっついていたい。

こんなに大好きなのに離れないといけないなんて、私たちはロミオとジュリエットなのかな…?

切ない…切なすぎる!

もう先輩に会いたいよ。大好きって伝えたい!