隣の席は、天邪鬼くん⁉

「おい、転校生」

 呼ばれて振り返ると、白瀬くんが立っていた。

「なんでそんなとこで宏としゃべってんだよ」

「えっと……」

 白瀬くんに置いてかれたから……なんて言えないし。

 ちらっと赤星くんの方を見ると。

「そりゃあ洸が黒崎さんを放って先に行っちゃったからでしょ」

 赤星くんがそう言い返してくれた。

「身長差考えてる? 背の高さが違えば歩幅だって違うんだよ」

「……めんどくせーな、そんなこと知るかよ。案内してやってるのはこっちなんだから、ちゃんとついてこない方が悪いだろ」

「洸が彼女を放っておくなら、僕がお世話係、代わってあげるよ」

「……やらないとは言ってないし。頼まれたのは、おれなんだけど」

 むっとした口調で言った白瀬くんは、もう一度背を向ける。

「ほら、ね」

 赤星くんは、こそっと私に耳打ちしてきた。

「めんどくさいって言いながら、ほんとは先生に信頼されてうれしいんだよ、あいつ」

 ……確かに、そうなのかも……?

「何やってんだよ、さっさと行くぞ」

 ちらっと振り返った白瀬くんが私をせかす。

「ご、ごめんなさい。えっと、赤星くん、いろいろ教えてくれてありがとう!」

 私は赤星くんにペコっとお辞儀をしてから、急いで白瀬くんの背中を追いかけた。