隣の席は、天邪鬼くん⁉

「――!?」

 混乱する私の目の前を、外れたドアが飛んでいった。

 どっどっどっと心臓が早鐘を打つ。

 あ、危なかったぁ……。

「……あ、あの、ありがとうございます」

 後ろを振り向くと、そこにいたのは赤茶色の髪の男子。

「――きみ、もしかして」

 振り返った私を見て、一瞬男の子の目が見開かれた気がした。

「え? な、ど、どうかしましたか?」

「……いや、何でもない」

 男の子は首を振って、にこやかに笑った。

「きみがうわさの転校生ちゃんだね。僕は1ーB、赤星宏。よろしく」

 人の良さそうな笑顔を浮かべてニコニコしている様子は、今まで見たここの生徒の中で1番とっつきやすい気がする。

 でも、さっき引き寄せられたときに触れた腕は細いけど筋肉質。

 この人もケンカ、するのかな……。

「えっと、1ーAの黒崎千波です!」

 私も名乗って、ペコっと頭を下げる。

「……あの、これはいったい、どういう状況ですか? なんだかあちこちで、ケンカばっかりで……」