隣の席は、天邪鬼くん⁉

 母親に応援され入ったモデルの世界。

 母親が喜んでくれるのがうれしくてがんばっていた小学生時代。

 だけど、顔にけがをして帰った日。

 母親が大事にしていたのは、「おれ」じゃなくて「美しい息子」だってことを知った。

 その時からずっと、おれの存在なんかどうでもいいんだと思っていた。

 だけどあの日。

 いつかの逆恨みで不良集団に囲まれていたあの日。

 見知らぬ少女は不良たちを全員倒して。

 自暴自棄になっていたおれを叱ってくれたんだ。

 黒崎の言葉は、まなざしは、あの時の少女と一緒だった。

 だからおれは、無傷で勝つ。

 黒崎を守るのは、……おれだ!

「知ってるか? あんた、バットをぶん回すとき……毎回毎回、ここで隙ができんだよっ!」

「んなっ――!」

 おれは恒田の隙をついて、腹に蹴りを入れる。

 そのまま回転し、勢いであごに拳もぶち込む。

「――っ!」

 恒田は吹っ飛んでいき、舞台から落ちていった。

 一瞬立ち上がろうとするも、そのまま地面に倒れこんだ。

 ――勝った。

 熱くなった頭が冷え、体育館の喧騒が耳に入ってくる。

「そうだ。黒崎……っ!」

 おれは入り口に向かって人込みへ突っ込んだ。