隣の席は、天邪鬼くん⁉

「しっ白瀬くんっ!」

 重い金属の扉を開けて、私は旧体育館の中へ。

 一番に目に飛び込んできたのは、舞台の下に集まって盛り上がってる集団。

 観客は、私たちの方を振り向きはするものの、こちらに向かってくる様子はない。

 舞台の上で、いったい何が……?

 人ごみの向こうの舞台上に目を凝らすと。

「――白瀬くんっ!」

 私の声が届いたのか、こっちを見た白瀬くんとばちっと目が合う。

 でも次の瞬間、白瀬くんは舞台袖の方へ大きく後ろに飛んだ。

 白瀬くんが元居た場所を、金属バットが通り過ぎる。

「よそ見はよくないよ~、白瀬クン。今は、オレと戦ってるんだから」

 大声でそう言うのは、学ランの下にパーカーを着た、ゆるい雰囲気の男子。

 だけど、まとう空気はただものじゃない。

「あれがこのチームの総長、恒田だよ」

 後ろから小声で赤星くんが教えてくれる。

「スネークスのほとんどのメンバーの実力は大したことないんだけど、唯一彼だけは強い。この学校の、トップ10には入るんじゃないかな?」

「トップ10……って、かなり強いじゃん!」

「まあ、普通にいけば、洸にとって大したことない相手ではあるけどね」

 ……でも、私たちが来るまでに、かなり時間があったよね?

 それなのにまだ相手がぴんぴんしてるって……つまり、苦戦してるってことなんじゃないの?