隣の席は、天邪鬼くん⁉

 心臓がバクバクしているのは、走っているせいだけじゃない。

 私のせいで、白瀬くんが……。

「大丈夫だよ、黒崎さん。洸は、スネークスなんかにつぶされるほど弱くない」

 私の不安を読み取ったように赤星くんが言ってくれる。

「ほら。……あそこだ」

 赤星くんの言葉でうつむいていた顔をばっと顔を上げると、古びた大きな建物があった。

 遠くからでもわかるほどに錆びたドアの前には、ガラの悪い男子が二人。

「おい、てめぇら、ここに近づいてくんじゃねぇ!」

 み、見つかった……!

「ど、どうするの⁉」

「どうするの……って、そりゃあどいてもらうしかなくない?」

「どいてもらう、なんてできるわけ……」

 そんな軽い空気のまま、ドアはもう目前。

「止まんねえなら、力ずくで止めてやらぁっ!」