隣の席は、天邪鬼くん⁉

 ……と思っていたのに、この状況はいったい何なのでしょうか……。

「じゃあ、黒崎は窓側の一番後ろの席な!」

 若くて元気な男の先生にそう言われ、私は不良(?)男子たちにじろじろ見られながら席に向かう。

 私が歩き出すと、男子たちがひそひそと話し始めるのが聞こえた。

「は、女子? マジ?」
「この学校のことわかってんのか?」
「こんな弱そうな女子、初めて見たんだけど」
「手足ほっそ。触ったら折れるんじゃね?」

 ……みんな女子に慣れてなさすぎない?

 ほんとにこの学校、何なの……?

 私は緊張したままようやく席にたどり着く。

 私の隣の席は、長い金髪の男の子だ。

 ほかの人たちとは違って、私には全く興味がなさそう。

 そっぽを向いたまま、ヘッドホンで音楽を聴いている。

「黒崎はこの学校に来たばかりでわからないことも多いだろうから、白瀬が色々教えてやれよ~!」

 先生の言葉で、教室が静まり返る。

 誰も返事をしない。

 もしかして、この金髪くんが「白瀬」くん?

「白瀬ー。おい、白瀬洸ー!」

 先生はつかつかと歩いてくると、金髪くんのヘッドホンをずぼっと抜いた。