隣の席は、天邪鬼くん⁉

「あっ赤星くん!」

 私は隣の教室に転がり込んだ。

「どうしたの? そんなに慌てて」

「きゅ、旧体育館ってどこ⁉」

「まずはいったん、落ち着いて」

 赤星くんの穏やかな声で、私の心臓は少し落ち着いてくれた。

 深呼吸をしてから、私は赤星くんに果たし状を見せて、これが白瀬くんの机の上にあったこと、姿が見えないから行ってしまったんじゃないかということを伝えた。

 赤星くんの表情も、だんだん厳しくなってくる。

「でも、残念ながら、僕らにできることは何もないよ」

「どうして⁉ 助けに行こうよ!」

「この学校のルールは三つ、って言ったよね。でもそれは、学校側が定めたルールだ。ここには、生徒同士の暗黙のルール、というものも存在するんだよ」

 暗黙の、ルール?

「この学校では、他人のケンカに手出しをすることは許されない。これは、そのうちの一つなんだ」

 え……。

 転校初日、白瀬くんは葛田先輩から私を守ってくれたけど。

 あれってもしかして、そのルール違反だったりする?

「まさか、私のせいで……?」

「何か心当たりがあるみたいだね。でも、この果たし状の相手は洸だ。僕らが行っても、何もできない」

「でもっ、白瀬くんは私のせいでこんなことになっちゃったんだよ⁉ 私は白瀬くんを放っておけない! それにこれはもともと私が原因なんだから、私は行ってもいいはず! だからお願い、赤星くん。旧体育館まで連れて行って!」

「きみはなんでそこまでするの? まだ出会って数日なのに」

「――好きになっちゃったからだよっ!」

 叫んでから、はっとする。

 そっか。

 私、白瀬くんが……好き、なんだ。

 赤星くんはそんな私を見て、ふっと笑った。

「そっか。じゃあ、しょうがないから連れてってあげる」