隣の席は、天邪鬼くん⁉

「あの、助けてくれて、ありがとう」

 応急処置……というほどのことでもないけれど、私のハンカチで血をぬぐいながら、私は改めてお礼を言う。

「べっ、別に助けたくて助けたわけじゃねーし! おれはあんたのお世話係だから、仕方なく追いかけてやっただけで。姿が見えねーから探したらヘンなとこにいるし。殴りかかられてたから、仕方なく……」

 聞いてもいないのにぶつぶつと言い訳して、最後に一言、

「しっ心配してたわけじゃないからな!」

 と付け足した。

 ……心配、かけちゃったんだな。

 申し訳ないと思いながらも、白瀬くんの優しさで心があったかくなる。

「この辺は旧体育館に近い。旧体育館は、『スネークス』ってグループの根城なんだ。だからこのあたりには奴らがよくいる。むやみに近づくな。そうじゃなくても……これからは、一人で歩くなよ」

「うん。ごめんなさい」

 自分一人でなんとかできると思ったけど。

 白瀬くんに迷惑をかけるわけにはいかない。

 それに、あまり多くの人に私の力を知られたくもないし。

 ……って、そうだ。

「あの。……私が倒したって、誰にも言わないで」

「は? なんでだよ」

「こんな学校で普通の高校生活を送ろうなんて、無理なのかもしれない。ううん、たぶんムリだと思う。それでも私は、『普通の女子』って思われていたいの」