時が経っても君を忘れない恋がしたい

及川くんは私の手を掴むと、スタスタと歩いていき非常階段に出た。


「及川く…っ!?」


戸惑いながら及川くんに声をかけようとするが、急に強く抱きしめられ驚いて言葉が出なくなる。


「…心臓止まるかと思った。もうあんな危ないことするのやめてくれ」

「え…?」

「俺の目の届かないところで危ないことをするな。今回は助けられたからよかったけど、もしも花村に何かあると思うと怖い」

「…うん、ごめんね」


勘違いするな。及川くんは、私の彼氏のフリをしてくれているからこそ、心配してくれているんだ。

…それなのに、ドキドキが止まらない。


「さっきの及川くん、ヒーローみたいでかっこよかったよ。ありがとう」

「ヒーローって…子どもか」


体を離してコツンと私の頭を指で弾いてきた及川くんが、ふっと優しく笑った。


ずっと遠くから見ていただけの及川くんが、今は私を見て笑いかけてくれている。