一粒のラムネ

『食べたら死ぬ!?めっちゃ話題になってるwww 手に入れられたから誰か試してwww』

いかにも怪しげな商品名。

フリマサイト。あたしはまんまと好奇心に負けて、このラムネを買ってしまったのだ。

あたしの片手はスマホ、もう一つの手の中には一粒のラムネがある。

「…まさか、死ぬわけないでしょ」

ははっと乾いた笑いをこぼす。

死にたい。これがあたしの本音である。

あたしはクラスの一軍達からいじめられていた。

いじめって、相当辛い。

どこかの漫画とかで見るやつより、何十倍も。

何時間もトイレに閉じ込められたり、そこから水をかけられたり。

暴力は勿論のこと、たまに凄く痛い日もある。

どうしてみんな、あたし達のことを認めてくれないんだろう。

当初は、頭の中がそんな疑問で埋め尽くされていた。

けれど今は、そんな答えは永遠に出そうにない。もはや諦めに近いのだ。

いじめが辛いから、あたしは死を選んだ。

彼氏には申し訳ないけど、ただそれだけの話。

これ以上は、もう限界。

あたしはもうボロボロに腐ってしまっている。

もうこれ以上汚くならないように、このまま死にたいな、と思っただけ。

手の中には、一粒のラムネがある。

正直半信半疑だけど、これを食べても損はないはずだ。

「…ごめんね」

勇気を出して、口に入れてみる。


「…なーんだ、やっぱりなんもないじゃん」

そうだよ、こんなラムネで死ぬわけないじゃん。

バカだな、あたし。心からそう思った。



数時間後に死亡が確認