ドアを慎重に開け恐る恐る人間の気配を探る

1・・・2・・・3・・・

ここから見える人間は3人

一人は体液という体液をあらゆる穴から垂れ流し笑っている

一人は自らの眼球を抉りそれを口に入れていた

一人はきょろきょろと辺りを見渡し

何が起こっているのか分からない様子だった

彼はまだ・・・悪魔を見ていないのか

私は外へ出る事無く

ドアの内側で彼に向かい叫んだ

「こっちです!早く来て下さい!!」

大げさに手を振る私に気付いたらしく

彼は私の元に駆け寄ろうとした瞬間

彼の表情は一変した

どうやら私が13番目だったらしい

なんだろう

彼には何が見えているのだろうか

彼は予想もつかぬ様な凄まじい形相で私を睨みつけ

人間の限界を超えた速さでこちらに向かい走って来る

私は恐怖の余りすぐにドアを閉め鍵を掛け

近くにあったテーブルをドアの前に立てかけた

緊張の糸が切れるか切れないか

瞬きしようとしたその一瞬

激しくドアを叩く音に私は思わずほんの少しだけ失禁した

もう彼は・・・人間では無く

まるで悪魔にとり憑かれたかの様に

人語を忘れただひたすらにドアを殴り

執拗に私を求めているようであった

私は太股を伝う生温かさなど気付きもせず

この先どうすればいいのか考えるだけで頭が一杯だった

ドアから外に出る事は不可能

他にこの家から出る方法は窓から這い出るしか無く

彼の視界に入らない窓はドアとは正反対にある窓のみであった

ドアを激しく叩き続ける彼に気付かれぬよう

私は猫足でその窓まで向かい

外の様子をこっそりとうかがった