蒼空と出逢ってから、私はたくさんのことを教えてもらった。気づかせてもらえた。
この衝撃は多分、この先一生忘れないと思う。
こんなに素敵な花火大会なのにあまり有名ではないから、少し優越感があった。
二十五分ほど経って、花火大会は終わった。もっとやってほしかった気持ちはあるけど、これだけでも満足感はある。
「あ、やば、動画撮るの忘れてた!」
蒼空が焦ったように口に手を当てた。私もスマホで撮ろうかと思っていたけど、つい忘れていた。だって、あまりにも花火が神秘的だから。
「まぁ、目に焼き付けておいたからいっか!」
明るいな、と思いながら、私は「たしかに」と言う。スマホやカメラに残さなくても、この思い出は消えないから。
花火大会が終わって、帰ろうとしたとき。
「ミャー」
もう聞き慣れた声だった。また、黒猫。どうしてか、ことあるごとにこの黒猫が現れる。
「まただね」
蒼空も私も不思議そうにする。
どこからやってくるのか、どうしてやってくるのか。一言で言えば、謎だった。



