教室に入ると、ぶわっと熱気が伝わってきた。
教室は冷房が効いてることを期待して入ったのに、実際はさほど涼しくなく、むしろ暑苦しいぐらいだった。
汗がベタベタしていて気持ち悪い。なんでこんな日に限って教室も冷えてないんだろう。これじゃあ、エアコンの意味ないじゃん。
私は、もう既にぬるくなった天然水を、ごくごくと飲んだ。
蒸し蒸しとした心地悪い空気。もはや外と変わらないんじゃないかと疑いたいぐらい。
これだから夏は嫌いなんだ。暑すぎるし、虫はたくさんいるし、憂鬱で仕方がない。
それに、夏になるといつもあの日のことを考えてしまうから。
考えたくない。思い出したくない。いっそのこと記憶から消されてしまえばいいのに、と思う。
夏が嫌いなのは、認めたくはないけれど、これが一番の理由だった。
あの日も、今日みたいな真夏日だったっけ。



