「そんなときに私を救ってくれたのは、美雲なんだよ」
ふわっ、と肌が粟立った。私は、ただやりたいことをやっただけ。
「美雲のおかげで、私も変わるきっかけができた」
顔をそっと上げると、蒼空は、穏やかなのに、どこか心強そうな表情をしていた。
「だから、美雲。私と一緒にいてほしい。最期まで楽しい思い出をつくって、傍にいてほしい」
最期だなんて言わないで。そう思ったけど、私を真っ直ぐと見つめるその瞳を見ると、私は期待を裏切るわけにはいかなかった。
私は、蒼空の傍にいる。最期まで幸せでいさせないといけない。それが、蒼空のために私ができることだから。
「分かった...蒼空。私、ずっと蒼空の傍にいるから。だから、お願い。最期まで幸せでいて」
蒼空が幸せでいられたら、満足な生き方ができたら、それで充分なんだ。
「うん...!」
病気をどうにかできるほどの力はないけど、悔いのないようにできることはきっとあるから。



