「病気なの...余命付きの」
蒼空に、今にも泣きそうな声と表情でそう告げられた。
一瞬、息の仕方を忘れた気がする。時が止まったように言葉が出なかった。言葉が出ないまま、蒼空の顔を見つめる。だんだんと心拍数が上がっていくのが分かった。
心臓がドクドクと早いスピードで跳ね、耳元まで鼓動が響く。「え」の一言も出なかった。足に変な力が入って、力を抜いたら今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
「嘘...」
長い間、言葉を発していなかった気がする。
病気。しかも、余命付き。
「余命って、どれくらいなの...?」
掠れた声で聞いた。無意識のうちに、手を握り締め、歯を食いしばる。嘘でしょ。余命って、あと一年とかで死んじゃう、ってこと?「死ぬ」なんて言葉、使いたくもなかった。
蒼空は口を開けたり閉じたりして、躊躇っているようだった。でも、聞いてしまった。
「三ヶ月」
消えてしまいそうな、儚く哀しい声だった。
「は...」
三ヶ月?三ヶ月なんて、半年もないじゃん。なに、夢?三ヶ月って...。
夢だと思いたかった。現実だと思いたくなかった。
ねぇ、お願い。だれか目を覚まさせてよ。でも、唇を噛むと痛みが走った。
あぁ、夢じゃないんだ。これはたしかに現実だった。
ドラマや映画ではこんなのありきたりだ。でも、自分が実際に経験するとなると全く違う。



