「蒼空が本音を打ち明けてくれたから。話を聞いてくれるのが嬉しいって言ってくれたから。生きててよかったって思えたんだ」
蒼空は少し口を開けていた。多分、私が蒼空の話を聞いているときも同じ反応をしていたと思う。
私は「それに...」と続けて言う。
「あの空の綺麗さに、気づかせてくれたから」
私は、大きく広がる蒼い空に、美しい雲を見上げた。
「空...」
蒼空も、そう言いながら上を向いた。
空は、世界の広さを実感させてくれる。見ていると、自分の悩みなんか星よりもちっぽけなんじゃないかと思うぐらい。
「そらは、私の人生を変えてくれたんだよ」
蒼空も、空も、どっちも。私の目に映るものがどれほど幸せであるか、教えてくれたから。
「...私!」
蒼空が勢いよく私の方に体を向けて、瞳をじっと見つめた。いつもの優しい眼差しじゃなくて、真剣そうな眼差しで。
「私、伝えないといけないことがある。三つ目の、秘密。一番大事なこと」
ごくり、と唾を飲む。どれほど重大なのか。
家族関係か、過去の話か、それ以外か。予想が付かなかった。私は、正直深く考えていなかった。
だって、こんなことを言われるなんて、頭の中にも全くなかったから。



