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放課後になり、私はカバンを肩にかけ、蒼空の方へ近づく。
「あ、美雲、行こ!」
蒼空が表情を緩め、肩を並べて歩く。
また、蒼空と屋上へ階段を上る。もう、この行為にも慣れた。苦く、甘酸っぱい思い出の屋上。
ドアを開けると、ふわっと風が髪を撫でる。
私と蒼空は、隅の方の柵に寄りかかった。最初に来たときにここにいたから、ほとんど定位置みたいなものになっている。
空は、テレビで言っていた通り入道雲が広がっている。
今日喋ることは、もう決まっていた。
「ねぇ、今日は私の話、してもいい?」
次は、蒼空が私の話を聞く番。私が話をする番。
「うん、聞かせて...!」
蒼空は、私の話を快く迎え入れてくれた。
私は少し深呼吸をして、心を落ち着かせる。そして、話を切り出した。
「私はね、友達ってなんだろうって、生きるってなんだろうって、ずっと色んなことを考えてた」
なんで生きてるんだろうとか、自分の存在意義ってあるのかな、とか。
蒼空は口を閉ざしたままだけど、私のことをちゃんと聞いてくれているように感じる。
「でも、蒼空とちゃんと会話をしてから、変わった」
蒼空が僅かに目を見開いた。私は感情が溢れないように、わざと淡々と話し続ける。



