私は今日も、そらを見上げる。




「ただいまー」

ガチャ、とドアを開け、靴を脱ぐ。

「あら、遅かったわね」

蒼空との会話が楽しくて、つい帰るのが遅くなってしまった。

「うん、友達と話してたら長くなっちゃって」

友達と言えるのが、どことなく嬉しかった。

あ、そうだ。蒼空の名前のことを思い出して、お母さんに聞いてみた。

「ねぇ、お母さんってさ、なんで私の名前美雲にしたの?」

「名前の由来?えっとねぇ...」

お母さんは数秒間口を閉じて、考えが纏まったように言葉を発した。


「空に包まれる美しい雲のように、幸せな人になってほしいと思ったからよ」