それ以外にも、静かな空気の夜景。連なる立体的な雲。光が射し込んでいて、天国みたいな空。夕方に光り輝く月。青く雲一つない快晴。薄暗い霧雨。空にかかる虹。
どれもこれも、美しかった。
空って、こんなに魅力的だったんだ。
ずっと近くにあったはずなのに、ずっと気づかなかった。
空を見上げると、そこには一面に広がる青に、ふわふわと雲が浮かんでいた。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。
手をどこまで伸ばしても届かない存在。それなのに、私たちを丸く包み込んでくれるような空。
「私のお母さんね、空が好きなの。私の名前が蒼空なのも、それが理由」
名前の由来か。私はなんだろう。単純に、綺麗だから?まぁ、帰ったらお母さんに尋ねてみよう。
「そうなんだ。蒼空って、なんか綺麗な名前だよね」
白瀬蒼空。まさに空のように清らかな名前だ。
「自分でも、ちょっと気に入ってる。でも、美雲も綺麗だよね」
「そうかな。まぁ、たしかに綺麗かも」
朝井美雲。今まで気にしたことなかったけど、雲という字も入っているし、結構いいのかもしれない。空を眺めながら、そう思った。



