「だれかに、見つけてほしかったから...」
蒼空の目から、するりと一滴の涙が頬を濡らした。
「大丈夫、私がいるよ」
その姿を見て、私は咄嗟に口走った。蒼空があのとき私を励ましてくれたように、「大丈夫」という言葉をかけた。
「美雲...私、今まで美雲にいっぱい酷いことしてきたのに」
蒼空が手で涙を拭う。
「いいの。蒼空も蒼空で、抱えてたんでしょ」
たしかに蒼空に傷付けられたことは何度もあるかもしれない。だけど、蒼空と出逢って、それ以上に大切なものに気づけたから。勇気を出して行動したのが正しかったって。人はこうやって支え合って生きていくんだって。
生きたいと思えた。
逝きたいと思っていた私が、生きたいと思えた。
「ありがとう、美雲...。美雲の話も、聞かせてね」
私の話なんて、需要なさそうだけどなぁ。でも、私も蒼空と同じだった。だれかに聞いてほしかった。理解者がいてほしかった。
「うん、聞いてね」
だから、今度は私が話す番。またどこかで、私の話も蒼空に聞かせる。
蒼空といると、自然と自分らしくいれる気がするのはなぜだろうか。一緒にいると心地よくて、’’自分’’を出せる感じがする。



