蒼空は太陽みたいで、いつでもどこでも明るい人だと思っていた。でも、それは違っていた。実際は、想像以上に悩みを抱えていて、静かで穏やかな人。例えるなら、空みたいな人だった。
蒼空の話に耳を傾ける。
「私は、だれかの一番になりたかった」
蒼空は寂しそうな表情で視線を落とした。
蒼空なら、だれかしらの一番になれそうだけどな。
「みんな、当たり前のように親友と呼べる人がいて、いつも傍にいてくれる人がいて。でも私にはそんな人いなかった。全員、広く浅く、って感じ」
言われてみれば、蒼空の周りには色々な人がいるけど、いつも特定のだれかがいるわけではなかった。みんなに明るく振る舞う分、親友や相方と言える人がいない。
やっぱり、私はまだまだ知らないことだらけだ。
「でも、今は美雲がいるから」
「え?」
私は聞いているだけで、アドバイスもなにもできていないのに。
「なんにも言わずに、ただ傍で私の話を聞いてくれるのが嬉しかった」
蒼空は私の心の声を聞き取ったかのように、優しく笑みを浮かべてそう言った。
それなら、傍で話を聞いているだけで蒼空が楽になるなら。それが、私の役割だ。



