私は今日も、そらを見上げる。


家族旅行も、家族とは仲良くないし、なにより予定が合わないから出来ない。小さい頃に家族で出かけたことがあるといっても、買い物ぐらいしかなかった。

友達と旅行だって、私には友達と呼べるほどの人なんていない。いや、いるかもしれないけど、きっとその人はもう、私のことを友達だなんて思ってないから。

友達って、どうやって作るんだっけ?

もう過去の話なのに、あることが今でも忘れられなくて、いつの間にか人と関わることすらやめてしまっていた。

でも、別にいいんだ。どうせ私の人生なんて、全部つまらないものなんだから。

期待なんて最初からしていない。期待なんて、するだけ無駄だから。

いつも下ばかりを向いていて、気付けば地面を見つめている。まだ背が小さい頃は、いつも色んなところを向いていたはずなのに。

背が伸びるほど、視界が狭くなっていく気がした。

いつからだろう、こんなにも人生に諦めがついてしまったのは。

「ミャー」

「...え、猫?」

さっきまで考えていたことが吹き飛ぶぐらい、甘くて優しい声の黒猫が、視線の先にいた。