私は今日も、そらを見上げる。


なんでそんなことになるのか、意味が分からない。蒼空は私を助けてくれただけなのに...。

蒼空から話を聞くと、最初は少しだけ「優等生ぶってる」とか「八方美人」とか、ちらほら陰口を言い始めた人がいたらしい。そしてだんだん広まっていって、中には蒼空を避けるようになった人もいたそうだ。

それから悪い評判ばかりを気にするようになってしまって、最終的に私と距離を置くことにしたらしい。

「だから、人に嫌われたくないっていう、私が原因」
蒼空がそんな悩みを抱えていたなんて、知らなければ、思いもしなかった。蒼空の気持ちも考慮せずに、自分のためだけに行動しようとしていた。

そりゃあ、通りで言わないわけだよね。やっぱり、蒼空が気を使って口を閉ざしていただけだったんだ。

「ごめん...私、なんにも知らなかった...」

今まで、ずっと気づかなかった。自分のことしか考えられていなかった。自分だけが満足して、自分だけが納得することを求めていた。でも、それは間違っていた。

ちゃんと、蒼空のことも考えるべきだった。

「ううん、もういいの!昨日のおかげで、私も色々と考え直すことができたから」

気がつけば、蒼空は優しく温かい笑顔を取り戻していた。

そういえば、嫌われるのが怖いって、今もなのかな。もう怖くはないのだろうか。

「ねぇ、嫌われるのが怖いって言ってたけどさ、それって今もなの?」

「昨日までは、そうだったよ。でも、周りの目なんか気にしない、それこそがほんとの友達だって気づいたから」

本当の、友達。そっか。世間体を気にせず、堂々と友達と言える人が本当の友達なのかな。

じゃあ、今までの蒼空と私の関係は、世間体を気にする、上辺だけの友達だったということだろうか。