「まぁ、とりあえず、これで仲直りってことでいいのかな...?」
昨日あんなことになったのにも関わらず、あっけなく仲直りをすることができた。
「あ、うん...」
「でさ、話戻るんだけどね。私、ずっと人に言えなかった秘密があるの」
私はこくりと頷いた。秘密って、なんだろう。少し思い巡らせてみたけど、予想がつかなかった。重要そうなことだけど、私が聞いてもいいのか。
蒼空が口を開けて、言葉を発した。
「私ね、人に嫌われるのが怖かった。だから嫌いになったの」
蒼空の声は、微かに震えていた。
嫌われるのが怖い。それは、私も同じだった。いじめられてからは、もう嫌われることも好かれることも諦めてしまったけど。
私は相槌だけ打って、蒼空が話を続ける。
「いじめられてたとき、私が助けたじゃん。それで、秋ぐらいまでは結構話してたでしょ?」
あのとき助けてくれたのは、今でも感謝しきれない。この後に続く言葉を、私はひたすら待つ。
「嫌われちゃったんだよね」
小さく、「え」と掠れた声が零れた。嫌われた?なんで?
「偽善者だ、って。いじめられてた子に手を差し伸べただけのつもりだったのに、偽善者って見られるようになったんだ」
開いた口が塞がらない、とはこのことだろうか。私はぽかんとしたまま、蒼空は自嘲気味に笑っていた。



