「あのさ」
私が顔を上げると、机の前に蒼空が立っていた。
「え...」
どうしよう。昨日のことが頭から離れなくて、どう反応をすればいいのか戸惑う。
「昨日のこと、ちゃんと話したい...だから、放課後屋上にきてほしい」
まさか蒼空の方から誘われるなんて、思ってもいなかった。無意識のうちに心臓が高鳴る。
「...分かった」
私が頷くと、蒼空は目を逸らして「ありがとう」と言って、すぐに自分の席に戻っていった。
また昨日みたいにならないよね。これ以上、事を大きくはしたくない。
それにしても、今更、なにを話すというのだろうか。嫌いなら、わざわざ会話もしたくないはず。
あぁ、やっぱり、蒼空が考えてることなんて、全然分かんないよ。



