やっぱり、嘘だったじゃん。なんなの。もうわかんない。なにもかもが嫌になる。
「知りたいから、誘ったんじゃん。言いたくないなら、誤魔化さずに言いたくないって言えばよかったじゃん!」
なにをするにも上手くいかない。やっぱり、私は人と話すことに向いてないみたいだ。
「そんな簡単に言えるものじゃないの!後悔してでも、知りたいわけ?」
もどかしくて、全部放り投げてしまいたくなる。すぐに打ち明けられると思っていたのに、現実はあまりにも惨い。
「あー、もう、好きにしてよ!」
投げやりになって、蒼空に背を向けるように逆の方を向いた。むしゃくしゃして、この感情をどこにやればいいのか分からない。でも、次の言葉を聞いて、前言撤回したいと思った。
「自分から聞いておいてなんなの?もういいよ!私、朝井さんのこと嫌いなんだよ!」
足音が遠さがり、バタン、という音だけが聞こえてくる。
「...は...?」
さらに静かになった屋上。後ろを振り向くと、既に蒼空の姿は消えていた。
きら、い?きらい、キライ、嫌い。
言葉が出なかった。いきなり、心に刃物を刺されたような感覚。
自分以外だれもいない屋上で、棒立ちのまま。唾も飲めないほどだった。
まともに喋ったこともないクラスメイトから書かれた「死ね」よりも、楽しい思い出を築き上げてきたはずの友達からの「嫌い」の方が、よっぽど心をえぐられた。
悲しいというか、現実を受け入れられない感じ。
視界がぼやけて、どこに目の焦点が合っているのかも分からない。
ちゃん付けで呼ばれていた名前。さん付けで呼ばれた苗字。
嫌いという声が、頭の中で反芻する。あぁ、友情関係って、こんなに脆いものなんだね。
勇気を出して自分なりに頑張ろうとしたつもりなのに、もう、どうすればいいの?だれか、教えてよ。



