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五時間目が終わり、休み時間になった。
それなのに、体が動かない。
蒼空は、友達と笑い合いながら喋っていた。蒼空は自分から動かなくても、自然と周りに人が集まってくる。机には蒼空の友達が複数人寄りかかっていて、私が話しかける隙なんて一ミリもなかった。
あー、どうしよう。衝動で行動しようとしてしまったから、こんなことすら全然考えていなかった。流石に馬鹿すぎる...。
ラインで誘うのもいいかもしれないけど、ブロックでもされてたらどうしようもないし。
そんなことを考えていると、蒼空と一瞬、目が合った気がした。焦って、私は咄嗟に時計を見ているふりをした。
とりあえず今日は諦めるか、と落胆していると、いきなり教室がざわざわしだした。クラスメイトの人たちがなぜか窓のところに集まってきて、急いでスマホを取り出している人もいた。
何事かと思い私もつられて見てみたけど、人で埋もれていてなんなのか分からない。
騒がしいみんなの声の中に、唯一聞き取れた言葉があった。どうやら、虹の雲というのがあるらしい。
ここに座ってたら邪魔かな。私は立ち上がり、邪魔にならないようにして人々の後ろに行った。それでも、やっぱりここからじゃ見えそうにない。
スマホのシャッターを切る音が、ちらほら聞こえてくる。


