かつて私と友達だった人は、みんな少しずつ離れていった。今思えば、友達と言えるのかも分からないけど。
だれかが噂を流せばすぐに広まり、証拠もないくせに噂を信じる。それと同じように、だれかが陰口を言えば、すぐに同調して特定の人を嫌う。
忘れたいはずなのに、忘れられなかった。
欲を言えば、蒼空とまた、仲良くなりたかった。一からでも、ゼロからでも、やり直したかった。
蒼空は、私の人生を救ってくれたから。優しく微笑むあの笑顔を、もう一度傍で見たかった。
正直、蒼空のことが嫌になったときもある。もう信用したくないと思ったことだってある。
でも、蒼空が私から離れた理由なんて、何も知らなければ、知る術もなかったから。被害妄想をしたり、根拠もなく、離れていった理由を決めつけたりもしちゃダメだと思った。
ちゃんと、自分で確かめないと。
私を避けてた人たちみたいにはなりたくなかったし、お母さんとだって、話せば関係を取り戻せたから。
だから、今回だけは、逃げることをやめる。行動力も忍耐力もない私が。
怖かった。もし、あのときも私だけが楽しんでたとしたら。最初から蒼空にとって私は、なんでもない人だったとしたら。
でも、やるって決めたから。
多分、お母さんとああしていなかったら、今もずっと確かめないままだったと思う。
お母さんに、そして自分にも、感謝しないとだな。
予定では、今日の五時間目が終わった後ぐらいに話しかけに行くつもりだ。


