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それから、私は蒼空と話す回数を増やしてみたり、連絡先を交換してみたり、自分なりに色々頑張った。
その度に蒼空は、いつも私に太陽みたいな笑顔をかけてくれた。
蒼空と過ごす毎日は、今までのつまらない日常をひっくり返したように楽しくて、幸せでいられた。生きている心地がした。
私が今存在しているのは、蒼空のおかげと言っても過言ではないと思う。
蒼空がいなければ、今頃私はどうなっていたんだろうか。
まぁ、とにかく私は幸せだった。
里奈達の目も気になることはなかったし、担任もいじめの話はしなくなった。
でも、それはただの夢みたいなものだった。このまま蒼空と友情が深まる__そう思っていた。なのに、いつしか絆は途切れていた。
最初のうちは沢山話していたけど、違うクラスだったのもあって、徐々に会話も少なくなった。
秋ぐらいまではまだ喋っていたけど、冬ぐらいになると、誘ってもなにかしら理由を付けて断られたり、誘われることもなくなっていった。
ただの勘違いかもしれないけど、避けられてる、みたいな。
シャボン玉のように大きく膨らみ、いつしか割れていった。
見えない壁がだんだん厚くなっていくように、蒼空との距離は遠のいてゆくばかりだった。
結局、私が一方的に追いかけていただけだったのかな。蒼空みたいな優しい友達が出来たから、私、飛び跳ねるほど嬉しかったのになぁ...。もう、だれも信用できないよ。
私の視野は、広いようで狭かった。


