私は今日も、そらを見上げる。


「...蒼空といると楽しいなぁ」

あ、やばい。間違えた。本当は言うつもりじゃなかったのに、無意識のうちに心の声が漏れてしまった。キモかったかな...。

「えっ、そう?嬉しい!ありがとう、美雲ちゃん大好き!!」

そんな、感情が伝わってくる声が耳の後ろから聞こえてきて、蒼空に抱きつかれたことに気が付いた。

「わ、え」

いきなりのことで理解が追いつかなくて、私は固まったまま。私が呆然としている間に、腕はすぐに離された。

「私も美雲ちゃんと話してると楽しいよ!!」

思わず零れた一言で、こんなにも喜んでくれるなんて。しかも、私と話してると、楽しいって。こんなにも嬉しい一言が、他にあるだろうか。

「あ!てか、私この後用事あるからもう帰らなきゃなんだよね...」

嬉しい感情の次に、寂しい感情が湧き出た。欲を言えばもっと一緒にいたかったけど、しょうがない。

「そっか、分かった」

「今日はありがとね、ほんと楽しかった!また明日!」
蒼空はベンチから立ち上がり、手を振ってから小走りで帰っていった。