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授業が終わり、放課後となった。
みんなが一斉に教室を出ていく中、私は席にちょこんと座ったまま蒼空を待つ。
そして少し経った頃。ドアのガラガラ、という音が聞こえた。
「あっ、美雲ちゃん!」
蒼空は柔らかな顔つきをして、私を手招きした。
私はカバンを肩にかけ、蒼空の方へ歩いていく。
「ごめんー、ちょっと遅れちゃった!」
蒼空は顔の前で両手を合わせて、申し訳なさそうな表情をしている。
「いや、そんなに待ってないから、大丈夫...」
「そう?良かったぁ。じゃ、行こ!」
私はこくりと頷き、蒼空の後ろに着いていった。
階段を降り、下駄箱で靴を履き替えて、外に出る。
どこに行くのかは分からない。それより、また根暗さが滲み出てしまったことに引っかかる。
蒼空はずっと私に微笑みかけてくれているのに、私は全然笑えてない。笑おうとすると、表情が強ばる。
「ていうか、今日めっちゃ暑くない?!ちょっと外出ただけで汗だくー」
蒼空は私の考えていることと真逆な、明るい声で話しかけてきた。
「うん、分かる。ほんと暑いよね」
身体中に熱がこもって、熱中症になってしまいそうなぐらいに暑い。
空一面に入道雲が広がっていて、夏らしさを感じた。



