私、どうすればいいのかな。
多分、あんないじめはもうされないと思う。でもあいつらはきっと、先生にバレない程度でコソコソと陰口を言ってくる。
人間なんてそんなものだ。今まで散々いじめてきた人のことを、急にパタリと何も言わなくなるなんてありえない。
蒼空は、私の味方でいてくれるのかな。
そんな小さな期待を胸に潜めながら歩いているうちに、学校に着いた。
少し呼吸を整えてから、学校の門に足を踏み入れる。そして階段を登り、教室のドアの前に立つ。
本当は行きたくなかった。休みたかった。でも、あいつらなんかに負けて休む自分の心の弱さが、許せなかった。
いつも逃げてばかりなくせに、こういうときだけは我慢してしまうんだから。我ながら馬鹿だなぁ、と自嘲気味に思う。
ドアに手をかけようとしたら、心臓の鼓動が早くなるのが分かった。私の手は、昨日と同じように震えていた。
「ねぇ」
背後から声が聞こえてきて、一瞬肩が跳ねた。でも後ろを振り向いてみると、声をかけたのは蒼空だったことに気が付いた。私は蒼空だと分かった瞬間、ほっと胸を撫で下ろした。



