「うわ、来た来た。ホントよく懲りないよね」
あからさまに、嘲るような言い方だ。
微かなはずの笑い声が、私の耳にはこびりついたように大きく響く。
あぁ、なんで朝からこんなに気を遣わないといけないの?だれか、私を解放させて...。
そんな気持ちを隠して、いや、隠しきれてるか分からないけど、私はいつものように平然としたふりをして席に足を運ぶ。
大丈夫、大丈夫。常に、そうやって自分に言い聞かせる。
だけど、足を運んだその先には。
「っ...!」
見た瞬間、思わず息を飲んだ。
みんなの視線に包まれることに精一杯で、近くに来るまで気付きもしなかったのだ。
私の机には、「ウザイ」「学校来るな」「陰キャ」「ブス」「バカ」__。
そして、一番大きく書かれた文字。
「死ね」
そんな汚い言葉が、黒いペンで殴り書きされていた。


