*
教室のドアを開けると、すぐにみんなから冷たい眼差しが降り注がれる。
私はいじめを受けていた。毎日、聞こえていないふりをして無視をされたり、私を見て嘲笑われたり、コソコソと陰で軽蔑されたり。
いじめの理由は不明だった。クラス替えをしてからクラスに馴染めなくて孤立していたけど、それが理由だったらいくらなんでも理不尽すぎるし。
私をいじめてくる人達は、五人グループ。その中のだれかが悪口を言い始めていじめに発展したのかもしれないし、そうじゃないかもしれないし。いつまでも謎のままだった。
初めはそんなに深刻に考えてはいなかった。時の流れに身を任せておけば、いずれ何事も無かったかのように収まると思ったから。でも、実際は私が考えていたものとは正反対で、だんだんといじめはエスカレートしていってる。
いつも、布団にくるまる頃には学校のことで頭がいっぱいで、明日はなにをされるんだろうと不安で不安で眠れなくなる。でもだれかに相談する勇気は無くて、いつも独りでその気持ちを抑えていた。
どこを見ても目が合う。悪霊に取り憑かれたかのように、ずっと監視されている気がする。
みんなからの痛い視線は、夏の暑さをかき消してしまうほどに冷たかった。
私をいじめてくる人達以外は、笑いもしなければ、助けもしない。ただ、私を見て友達とコソコソなにかを喋るだけ。


