私は今日も、そらを見上げる。




ミーン__ミーン__。

夏を感じさせるセミの声が、私の耳の中で騒ぎ出した。
「なーんか、変な感じ...」

だれもいない田舎の道で、小さくそう呟いていた。

「ミャー」

そんな淡い声が聞こえてきて、私は思わず立ち止まった。

「へっ?」

黒猫。しかも、昨日と同じ...。

昨日と変わらない眼差しで、私を見つめていた。きゅる、というオノマトペが似合いそうな、大きい瞳。

それにしても、なんでまた?

まぁ、たったの二日だし、同じ場所にいることは稀でもないか。

触ってみようかな。でも、昨日逃げちゃったしな...。

そんな風に迷っていると、黒猫は私の足元の周りをぐるりと駆け回った。

もしかして、ちょっとは私に懐いてくれてる?それとも、ただ単に好奇心?

そんなことを期待しているうちに、黒猫はもうその場から離れて、またどこかへ行ってしまった。

黒猫になら、期待してもいいかな。

「...また会えたらいいな」

あの猫との短い間の出来事を思い出しながら、そう思った。