「本当、ごめんね」
お母さんが申し訳なさそうにしているのを見て、私は俯きながら首を横に振った。
「...いや」
私も、ごめん。そう言いたいのに、声が出ない。言わないと。ごめん、ごめん__。
「美雲?どうかした?」
言おうとする前に、またお母さんが声をかけてきた。
「あ、いや、別に。大丈夫」
私は動揺しつつも、そう言って誤魔化した。
「ならいいけど...」
お母さんは心配そうな顔で私を覗き込んできたけど、すぐに目を戻した。
「ねぇ、今日...さ」
私は、お母さんにあることを言おうとした。ずっと思ってたけど、本当はお互い思ってたはずだけど、言えなかったこと。
「学校から帰ってきたら、一緒に話さない...?」
お母さんは私の言葉を聞いて、意外そうな顔をしてきた。少し間が空いたあと、お母さんが口を開いた。
「うん...久しぶりに、話そっか」
目には見えないものを、取り戻した気がした。



