私は今日も、そらを見上げる。




その翌日は、お昼ぐらいに海へ向かった。

海は、見る度に私の心を落ち着かせてくれて。

空を見上げてみた。あぁ、綺麗だな。

どんなに悲惨なことが起こっても、空は常に美しいまま。あの空の上には、蒼空がいるのかな。

そう思いながら海へ向かうと、だれかがいた。だれだろうと目を凝らしていると、その人が後ろを振り向いた。

ふっと目が合った。キリッとした眉毛に、どこか見覚えのある顔。

その人ははっとしたように私を見つめた。

「あの...!」

そう言われた。私?と指を指して合図をすると、その人は頷いた。

「えっと...覚えてる?」

見覚えはあるけど、中々思い出せない。

「矢坂里奈」

名前を言われて、中学生の頃の記憶が蘇った。矢坂里奈。私をいじめてきた人。

今まで散々傷つけてきたくせに、今更何の用があるというのか。

怒りが湧いてきたとき、

「ごめん!」

と頭を深く下げられた。

予想外の行動に、私は呆然とする。

「本当に、ごめんなさい」

「その...いじめをしたのは訳があって。言っても、言い訳にしか聞こえないと思うけど...」

里奈から話を聞いた。

里奈は昔から家庭環境が複雑で、お兄ちゃんと比べられて’’ダメな子’’として扱われてきたらしい。それで、私をいじめて下に見ることで安心していたそうだ。

でも、結局罪悪感が芽生えてきて、机に悪口を書いてわざといじめがバレるようにしたらしい。

強制的にいじめを終わらせた、って感じ。

それで、ずっと謝りたかったけど謝れなくて、今日たまたま会ってから咄嗟に言葉が出たらしい。

里奈にそんな家庭環境があるなんて、知らなかった。ただ私のことをいじめる、最低な人だと思っていた。

いじめは決して許されないし、私も許さない。だけど、いじめた側の里奈にも辛いことがあったんだということを、少しは理解できた。

あぁ、やっぱり、人はみんな辛いことも後悔していることもあるんだな。