私は今日も、そらを見上げる。




余命まで、あと五日。

昨日、一応勿忘草がお花屋さんにあるのか調べたところ、ないらしかった。

どうしようかと考えていたら、ふとあることを思い出した。

いつ作ったのかは忘れたけれど、勿忘草の押し花があった。白い勿忘草の押し花。

奇跡だと思った。相当運がよくない限り、こんなことは起こらないはず。そもそも、蒼空と出逢えたこと自体が奇跡だけど。

押し花をカバンの中に入れた。これで蒼空に勿忘草を渡すことができる。


三日間連続で病院に向かう。

「はい、お花屋さんにはないらしくてたまたま押し花があったんだけど、勿忘草」

蒼空は「わぁ...」と感心していた。でも、口数も少なくて、元気がなさそうだった。

死が近づいていることを実感させられた。あぁ、嫌だ。蒼空がいなくなってしまうのが、どうしようもないぐらいに嫌だ。

身近な人の死ほど、大切な人が喪われるほど惨いことはないと思う。

無意識のうちに、私は歯を食いしばっていた。

「ちょっとだるいから、寝るね」

元気だった頃とは違う、か弱い声。「分かった、おやすみ」と言いつつも、悲しさが広がった。


今日の帰りも、美空はいなかった。蒼空と会えなくなるというのに、美空にも会えなくなるなんて。せめて、美空だけでも傍にいてほしかった。

なんだか、全部失ってしまったみたいで。ただ一人、寂しさに溺れた。


それにしても、蒼空がどうして勿忘草を頼んだのか、私は不思議に思った。なにか意味でもあるのだろうか。

そう思い、私は勿忘草のことを調べてみた。そうすると、謎が解けたように涙が零れそうになった。

あぁ、やっぱり気づいてたんだね。私は蒼空のことを、絶対に忘れないよ。