最後までイルカのショーは充実感があって、終わってしまうのが寂しいぐらいだった。
「楽しかったぁ」
蒼空は伸びをしながらそう言って、「じゃ、ブレスレット買いに行こ!」とすぐに気持ちを切り替えていた。
水族館のお店に入ると、イルカのぬいぐるみやキーホルダー、ブレスレットなどがたくさんあった。
ブレスレットは何種類かあって、青や水色の空みたいなものも、ピンクや赤の春みたいなものもあった。
「どれにする?私はこの水色っぽいやつかな」
私は空のようなブレスレットを指を指しながら、蒼空に尋ねた。
「んー、私もそれかな」
そうして、結局同じブレスレットを買うことにした。買ってすぐ手首に付けてみると、お揃い感を実感できた。風のような涼しさを感じるブレスレット。
「めっちゃおしゃれ、写真撮ろうよ」
蒼空がデジカメを出して、手首のブレスレットを撮った。ついでに、と言われてツーショットも。
お揃いというだけで、こんなに心が躍るんだな。
もっと蒼空と一緒にいたい。まだまだ幸せでいたい。夢のような景色を見ていたい。
でもそれは、いくら願っても叶わないから。
一秒でも、一分でも長く、幸せでいられる時間を増やしたかった。


