水族館を一通り回ると、イルカのショーの時間が近づいてきた。人も多いだろうから、少し早めに場所へ向かうことにした。
正直、どんな魚を見るよりもイルカのショーが一番楽しみだった。蒼空にそのことを告げると、蒼空も同じことを思っていたらしい。
エスカレーターのところも水中に覆われていて、四六時中飽きなかった。
場所に着くと、たまたま前の方の席が二人分空いていたからそこに座った。
「待って、今更だけどこれ水かかりそうじゃない?」
蒼空が気づいたようにふっとにやけた。
「やばいね、あ、でも一応タオルは持ってきてるよ」
昨日の夜、念の為持ってきていたんだった。
どれぐらい濡れるのかは調べていないけど、とりあえずあまり濡れないことを二人で祈った。


